血液の流れ
血液は体内をくまなく循環しています。
心臓→動脈→抹消(臓器、四肢など)→静脈→心臓の順に循環しています。
静脈は心臓より遠い位置から心臓へ血液を戻すのに逆流してしまわないように逆流防止弁がたくさん存在しています。
下肢静脈瘤とは
下肢(足)の比較的太い静脈の逆流防止弁が必要以上に開いたり、壊れてしまい、心臓に戻るべき血液が一部足首に向かって逆流を起こし血液を足の静脈にとどめてしまい、圧力が上がり静脈が膨れてしまう病気です。
逆流防止弁は血液がスムーズに循環するのをサポ-トしてくれるとても大切な存在ですが、一度壊れてしまった弁は治すことができません。
壊れた弁が増えると血液の流れが滞りスムーズに心臓に帰れなくなり、足の静脈の中に血液が徐々にたまっていってしまいます。次第に血管が拡張して皮膚の表面がもり上がり、最終的には出血、潰瘍にまで発展することがあります。
「命に直結はしない」「良性の病気」と言われることもありますが自然に治ることはないため少しづつ症状が進むのが下肢静脈瘤です。
この程度の症状で病院に行くのはためらわれるという方も多くいらっしゃいますが、進行状況も個人個人で変わりますので気になる症状が出てきたときが診察のタイミングです。

下肢静脈瘤の種類
1.大伏在静脈瘤

大伏在静脈は足首の内側から下腿・大腿の内側を通って脚のつけ根で深部静脈に合流する静脈で、その本幹や枝分かれしている血管に発生するのが大伏在静脈瘤です。逆流を起こすことで血管が太くなり、皮膚の方面に立体的に浮いてきます。
主に下腿から大腿部内側、下腿の外側、大腿部の背側に発生します。
2.小伏在静脈瘤
大伏在静脈瘤と血管の場所が異なり、足首の後ろやひざの後ろにある皮膚表面に近い太い静脈に発症するものを小伏在静脈瘤といいます。
こちらも逆流を起こすと血管が太くなり、皮膚の表面に立体的に浮いてきます。
発生部位は大伏在静脈瘤と同様ですが、足首の後ろや膝の後ろになります。
3.網目状静脈瘤
細い皮下静脈(径2~3㎜)が網目状に膨らんで発症する静脈瘤です。
伏在静脈瘤のように瘤ができ、皮膚が押し上げられることはありません。
4.くもの巣状静脈瘤
網目状のものより細い真皮内静脈瘤(径0.1~1㎜)です。網目状静脈瘤と同様に瘤ができることはありませんが、徐々に範囲が広がり足を露出するときに精神的に苦痛に感じる方もいます。
下肢静脈瘤の症状
・足が痛い
・だるい
・重い
・疲れやすい
・足がかゆい
・足がむくむ
・足がつる
(けいれん こむらがえり、明け方ふとんの中で起こるのが特徴的)
・足に色がつく
(皮膚の色が変色している)
・湿疹がある
・皮膚が硬い
・皮膚に穴が開く(潰瘍)
・出血している
・傷が治りにくい
・足に血管が浮き出ている
・足にこぶ(瘤)がある
以上の症状がある場合、下肢静脈瘤である可能性があります。
下肢静脈瘤の原因
・足の筋力低下
(ふくらはぎの筋肉の収縮によって血液が心臓に戻りやすくなるポンプ機能が低下すると血流が滞りやすくなる)
・足の血管が弱くなる
・血管が柔らかい
・血縁ある人が静脈瘤
(逆流防止弁の損傷や機能低下、生まれつき弁の数が少ないなど、遺伝の可能性もあります)
・肥満
・加齢
・立ち仕事・座り仕事
(立ちっぱなしや足を動かさず同じ姿勢が続くことにより、ふくらはぎの筋肉の収縮が少ないため)
・妊娠や出産
(おなかが大きくなりおなかの中の圧力が上昇して下肢血管での逆流を引き起こすことがある)
・妊娠出産に伴うホルモン分泌の変化
下肢静脈瘤の予防
・長時間立ち仕事を行う場合や妊娠中には弾性ストッキングを着用する。
静脈血やリンパ液を心臓方向へ流れやすくすることで血液の逆流・滞留を予防します。
・足のマッサージ
血液が滞留しやすい夕方や寝る前、入浴時のマッサージが効果的です。
・適度な運動
血行改善やふくらはぎの筋肉のポンプ機能が強化され、血液の滞留が改善されます。過度な運動は静脈弁に負担をかけるため好ましくありません。
・肥満・便秘の改善
肥満や便秘は血行不良や静脈の圧迫などから下肢静脈瘤の要因となります。生活習慣病も下肢静脈瘤を悪化させる場合があるため、生活習慣や食生活を見直すことも予防になります。
当院で行っている下肢静脈瘤の治療法
■硬化療法注射
静脈瘤に硬化剤といわれる薬剤を注射して、血液を固める療法です。一定の効果はありますが、ある程度進んだ下肢静脈瘤では治療効果はあまり期待できず、根本的な治療ではありません。
■血管内焼灼術
血管内焼灼術は、カテーテルという細い管を使って中から静脈を焼いてふさぐ治療です。 高周波を使う方法と、レーザーを使う方法の2種類があります。
・治療内容
血液が逆流している静脈に細い針を刺して、その針穴から静脈の中に高周波やレーザーが出るカテーテルを入れ、内側から熱を加えて焼灼します。皮膚を切らないため、静脈を引き抜く従来のストリッピング手術に比べて傷口が小さく、日帰り手術が可能です。ふさいだ血管は徐々に体内に吸収されてなくなっていきます。
・リスク・合併症
・必ず起こること:腫れ、軽度の疼痛(数日で改善)、内出血(1か月程度で消失)
・時々起こること:テープ負けによる水疱、血管に炎症が起きることによる痛み(1週間程で自然に軽快)
・滅多に起きないこと:神経障害(皮膚の感覚の低下、しびれ、300例に1例ほど)
・文献レベルでの報告があること:深部静脈血栓症(深い血管に血の塊ができる(0.1%))
■医療用接着剤で血管を塞ぐ「グルー治療」
グルー治療は、下肢静脈専用に開発された医療用接着材「グルー」を、カテーテルを使って治療する静脈内に注入して静脈をふさぎます。熱によって静脈をふさぐ血管内焼灼術と違い、熱を使わないグルー治療は、やけどや神経障害がないのが大きな特長です。
・治療内容
血管内焼灼術では、静脈を焼くときの痛みを防ぐために治療する血管に沿って全体に麻酔を注射する必要がありましたが、グルー治療ではこの麻酔が必要ないため、麻酔注入時の痛みがありません。ストリッピング手術や血管内焼灼術では必須となっている、術後の弾性ストッキングの着用や弾性包帯による圧迫は、通常必要ありません。医師の判断にもよりますが、軽い運動や車の運転も当日から可能で、他の治療方法に比べて、手術後の体への負担が少ない治療方法です。
・リスク・合併症
血管をふさいだグルーは長期間血管内に残るため、グルーの成分にアレルギーをお持ちの方は治療を受けられない場合がありますので注意が必要です。
下肢静脈瘤の種類
1.大伏在静脈瘤

大伏在静脈は足首の内側から下腿・大腿の内側を通って脚のつけ根で深部静脈に合流する静脈で、その本幹や枝分かれしている血管に発生するのが大伏在静脈瘤です。逆流を起こすことで血管が太くなり、皮膚の方面に立体的に浮いてきます。
主に下腿から大腿部内側、下腿の外側、大腿部の背側に発生します。
2.小伏在静脈瘤
大伏在静脈瘤と血管の場所が異なり、足首の後ろや膝の後ろにある皮膚表面に近い太い静脈に発症するものを小伏在静脈瘤といいます。
こちらも逆流を起こすと血管が太くなり、皮膚の表面に立体的に浮いてきます。
発生部位は大伏在静脈瘤と同様ですが、足首の後ろや膝の後ろになります。
3.網目状静脈瘤
細い皮下静脈(径2~3㎜)が網目状に膨らんで発症する静脈瘤です。
伏在静脈瘤のように瘤ができ、皮膚が押し上げられることはありません。
4.くもの巣状静脈瘤
網目状のものより細い真皮内静脈瘤(径0.1~1㎜)です。網目状静脈瘤と同様に瘤ができることはありませんが、徐々に範囲が広がり足を露出するときに精神的に苦痛に感じる方もいます。
下肢静脈瘤の症状
・足が痛い
・だるい
・重い
・疲れやすい
・足がかゆい
・足がむくむ
・足がつる(けいれん こむらがえり、明け方ふとんの中で起こるのが特徴的)
・足に色がつく(皮膚の色が変色している)
・湿疹がある
・皮膚が硬い
・皮膚に穴が開く(潰瘍) 出血している
・傷が治りにくい
・足に血管が浮き出ている
・足にこぶ(瘤)がある
以上の症状がある場合、下肢静脈瘤である可能性があります。
下肢静脈瘤の原因
・足の筋力低下
(ふくらはぎの筋肉の収縮によって血液が心臓に戻りやすくなるポンプ機能が低下すると血流が滞りやすくなる)
・足の血管が弱くなる
・血管が柔らかい
・血縁ある人が静脈瘤
(逆流防止弁の損傷や機能低下、生まれつき弁の数が少ないなど、遺伝の可能性もあります)
・肥満
・加齢
・立ち仕事・座り仕事(立ちっぱなしや足を動かさず同じ姿勢が続くことにより、ふくらはぎの筋肉の収縮が少ないため)
・妊娠や出産(おなかが大きくなりおなかの中の圧力が上昇して下肢血管での逆流を引き起こすことがある)
・妊娠出産に伴うホルモン分泌の変化
下肢静脈瘤の予防
・長時間立ち仕事を行う場合や妊娠中には弾性ストッキングを着用する。
静脈血やリンパ液を心臓方向へ流れやすくすることで血液の逆流・滞留を予防します。
・足のマッサージ
血液が滞留しやすい夕方や寝る前、入浴時のマッサージが効果的です。
・適度な運動
血行改善やふくらはぎの筋肉のポンプ機能が強化され、血液の滞留が改善されます。過度な運動は静脈弁に負担をかけるため好ましくありません。
・肥満・便秘の改善
肥満や便秘は血行不良や静脈の圧迫などから下肢静脈瘤の要因となります。生活習慣病も下肢静脈瘤を悪化させる場合があるため、生活習慣や食生活を見直すことも予防になります。
当院で行っている下肢静脈瘤の治療法
■硬化療法注射
静脈瘤に硬化剤といわれる薬剤を注射して、血液を固める療法です。一定の効果はありますが、ある程度進んだ下肢静脈瘤では治療効果はあまり期待できず、根本的な治療ではありません。
■血管内焼灼術
血管内焼灼術は、カテーテルという細い管を使って中から静脈を焼いてふさぐ治療です。
高周波を使う方法と、レーザーを使う方法の2種類があります。
・治療内容
血液が逆流している静脈に細い針を刺して、その針穴から静脈の中に高周波やレーザーが出るカテーテルを入れ、内側から熱を加えて焼灼します。皮膚を切らないため、静脈を引き抜く従来のストリッピング手術に比べて傷口が小さく、日帰り手術が可能です。ふさいだ血管は徐々に体内に吸収されてなくなっていきます。
・リスク・合併症
・必ず起こること:腫れ、軽度の疼痛(数日で改善)、内出血(1か月程度で消失)
・時々起こること:テープ負けによる水疱、血管に炎症が起きることによる痛み(1週間程で自然に軽快)
・滅多に起きないこと:神経障害(皮膚の感覚の低下、しびれ、300例に1例ほど)
・文献レベルでの報告があること:深部静脈血栓症(深い血管に血の塊ができる(0.1%))
■医療用接着剤で血管を塞ぐ「グルー治療」
グルー治療は、下肢静脈専用に開発された医療用接着材「グルー」を、カテーテルを使って治療する静脈内に注入して静脈をふさぎます。熱によって静脈をふさぐ血管内焼灼術と違い、熱を使わないグルー治療は、やけどや神経障害がないのが大きな特長です。
・治療内容
血管内焼灼術では、静脈を焼くときの痛みを防ぐために治療する血管に沿って全体に麻酔を注射する必要がありましたが、グルー治療ではこの麻酔が必要ないため、麻酔注入時の痛みがありません。ストリッピング手術や血管内焼灼術では必須となっている、術後の弾性ストッキングの着用や弾性包帯による圧迫は、通常必要ありません。医師の判断にもよりますが、軽い運動や車の運転も当日から可能で、他の治療方法に比べて、手術後の体への負担が少ない治療方法です。
・リスク・合併症
血管をふさいだグルーは長期間血管内に残るため、グルーの成分にアレルギーをお持ちの方は治療を受けられない場合がありますので注意が必要です。